2018年11月22日に、ヒルトン福岡シーホークにて、
「第27回福岡県中小企業経営者フォーラム」が開催されました。
≪ダイジェスト≫
基調講演 本気になって何が悪い
~逆境をバネにしたチャレンジ経営~
講 師:九州旅客鉄道株式会社 代表取締役会長 唐池 恒二氏
上場を果たす
1987年4月国鉄は7つのJRに分割民営化された。経営的にはJR貨物はトントン、東日本・東海・西日本は黒字だった。赤字のJR九州は、北海道・四国とともに三島JRと呼ばれ、株式上場など誰も考えていなかった。劣悪な労使関係の中で、規律がなく事故が頻発しサービス最悪、業績の最低だった。22線区のうち21が赤字。いつまでもつのか、危機感があった。
逆境になると「何か、やろう!」と不思議と力が沸くものだ。危機感をバネにJR九州の挑戦が始まった。
駅で売店をやる。ならば百貨店に勉強に行こう。
釜山へ行くビートルを運航しよう。ならば自社で船員を育てよう。乗船履歴は10年必要で、難しい試験もある。努力の甲斐あって10年後11名の船員が生れた。
発足当初は90%が鉄道の売上比率だった。鉄道自体の売り上げも伸ばして、さらに比率は40%となり、黒字へと転換していった。晴れて2016年10月上場を果たした。
リーダーとして持つべき大切な力をこう考える。
1、夢見る力
2、気を高める力
3、伝える力
夢見る力
JR九州では、上場すること、九州新幹線を走らせることを夢としていた。2009年6月私は社長に就任した。上場をし、2年後には新感線が開通することになっていた。次なる夢はなくなってしまうことになる。就任1週間後、私は新しい夢『世界一の寝台列車をつくろう』と宣言した。各部署にできるかどうかを検証させた。返ってきた答えは、「ギリギリです」というものだった。行間からは「できない」と読み取れた。運輸担当部長が面と向かって反対してきた。気骨のある男だと思った。私は反対を押し切りこの挑戦を実行することにし、この男をプロジェクトのリーダーに据えた。すると急変してこの挑戦に突進していった。「してやったり!」の人事だった。新たな夢に向かって、組織が活性化した。
気を高める力
世界一の列車のデザインは第一人者の水戸岡鋭治さんにお願いした。日本一は作ったことがあるが、果たして世界一ができるかどうか、試案に試案を重ねていた。かのオリエントエクスプレスにも乗りに出かけた。かくして2012年から超一流の職人たちによる列車づくりが始まった。それでも水戸岡さんは最後の最後、何かが足りないと感じた。
有田焼で有名な人間国宝・第14代酒井田柿右衛門さんを訪ねた。めったにしゃべらない水戸岡さんが熱弁を奮った。その後、しばらくおいて師は「私がやるべき仕事です。お引き受けします」と述べた。息子(15代目)と、8カ月にわたる無類の洗面台づくりが始まった。末期がんに侵されていた師は納品の1週間後、『ななつ星』の出発を待たずにこの世を去った。
『ななつ星』には気がぎっしり詰まっている。気が作用すると人は感動して涙する。乗ったお客様が感動して、時に号泣するのは気が作用しているからだ。
気はエネルギーだ。気が感動になり、オーラを放射する。気が集まっているところには人が集まり業績が上がる。
気を集めるためには、次のことが重要だ。
1.夢見る力
2.スピードあるキビキビした行動
3.明るく元気な声
4.スキを見せない
5.よく使用とする貪欲さ