≪ダイジェスト≫
福岡地区会 2017年新春講演会
「Think Globally, Act Locally」
~2017年日本経済の展望と企業づくり・地域づくり~
講師:駒澤大学 経済学部 教授 吉田 敬一氏
経済循環には3つあります。
- ローカル循環:地産地消、力がつけば地産外消が望ましい。
- ナショナル循環:国民経済循環
- グローバル循環:資源・労働力などをその国で調達する
日本は量的な成長を求めたため、価格競争になっている。日本の文化をモノにしたものを買っていない。日常があり、非日常、そして異日常があるが、日本は欧米化そして東京に倣っており、地域の個性が見られない。
- アベノミクスをどう見るか。
蜃気楼の経済である。1ドル80円の時に3万ドルの車を輸出していた。1ドルが100円になり、グローバル循環、即ち海外で生産があるので、そのまま3万ドルで売った。生産量は増えないが利益が大幅に増えた。しかし下請け企業や地域にはトリクルダウンは起きていない。
保険のあり方の変化により輸出の概念が変わった。MADE in JAPANではなくてMADE by JAPANとなってきた。
異次元金融緩和に注目していなければならない。日本の政府債務残高はギリシャ並みになってきている。デノミや預金封鎖があるかもしれない。いずれにしても消費税は上がるし、外形標準課税も導入されるかもしれない。
- 中小企業・地域経済の活路打開の方向
日本はアメリカをモデルにしてきた。ドイツ・スイス・イタリア・オーストリアなどは独自のブランドがある。また労働時間の上限があり、量的に競争できない仕組みがある。日本とイタリア間の貿易を見るとファッション・バッグ・ワイン…これば地場産業である。車は超高級車である。
これからはマーケティングが必要である。東京大田区は『待ち工場』からの脱却を謳っている。例えばボブスレーの製造。これは表面処理に高い技術が求められる。そんなことができますよとアピールしている。ホンモノ志向として今治のタオルがある。生産量は横バイだが、単価が上がってきている。
中小企業憲章は持続可能なローカル循環に重きを置いて制定された。
地域振興条例は墨田区が早かった。施策する人(区の職員)が現場を見ていたからだ。各地で作られるようになってきた。愛知では金融条項が盛られた。長野では労働組合にも触れている。これは同友会の掲げる経営指針書・労使見解の考え方に一致する。金融機関が中小企業の相談相手になるようにという傾向が見えてきた。
- 経営指針に基づく「なくなったらお客様が困る会社」づくりの課題
同友会のめざす良い会社とは、変化への対応できる会社・財務体質のよい会社・固有の技術を持つ会社である。QCD+αである。つまりQ(品質)C(コスト)D(デリバリー)そして+α(感動)である。社員は現場をよく知っている。社員をその気にさせる。そのためには理念が必要だ。さらにビジョンを持ち、レベル・ベクトルを合わせなければならない。
同友会のトライアングル:3つの目的・経営指針書・労使見解を実行する。フルに人的資源を使う。世界がどうなっているかという観点を持ちつつ、地域での独自性を活かしていくことが大事だ。
(文章 菅原 弘)
東支部新年会の様子